閉鎖的な壁を取り払ったくつろぎの空間「Loft Amsterdam」
都心部の物件が狭いというのは世界中共通することだ。部屋が細かく壁で仕切られていたら、思い通りの生活もままならない。アムステルダムの中心部にある、このアパートも例外ではなかった。仕切りという障壁を取り払うことで、開放的な暮らしを手に入れた。
56㎡の広さのアパートは細長いつくりで、家の中央部にバスルームと納戸が配置されている。
この部屋は、ベッドルーム、リビング、キッチンが仕切られ、どこへ行くにもドアを開けなければいけなかった。自分1人の時ならまだしも、来客があった時にはとても困りもの。キッチンで料理をすれば、友人はリビングで1人きりで少々孤独を感じてしまいそう。
料理ができても、ドア、廊下、またドアを挟んでようやくリビングへ。動線を考えても使い勝手のいい間取りとは言い難かった。
建築会社Bureau Fraaiは使い勝手の悪さを解消するべく、部屋を仕切っていた壁とドアを取り払った。
閉鎖的だったキッチンはダイニングキッチンとして生まれ変わった。テーブルが置けるようになり、料理の合間に友達と話せるから疎外感を感じることもない。キッチンとリビングがつながったことで閉塞感がなくなり、とてもオープンな雰囲気の空間に生まれ変わっている。
部屋を区切る壁は減った一方、収納が増えた。
北側の壁一面には12カ所の収納スペースを設け、納戸と比べて奥行きはなくなったが、整理しやすくなった。
元々あった納戸はベッドルームに変わり、窓をつけて外光が入るようにした。ここにも収納が設けられていて、デッドスペースに靴を収納してベッドに上がることができる。心憎い演出だ。リビングには、作り付けの飾り棚も設置されて、収納スペースは充分なままである。
都心に住む利便性と、プライベートなくつろぎの空間、両方を満足させてくれるアパートである。
文=加藤聖子